アナログレコードの再生において、静電気対策は永遠のテーマといえます。
数え切れないほどのGOODSが発売されては消えていきました。
そのものの価格が安ければ手軽に試してみる事も出来なくはありませんが、○万円なんて代物には手を出せるはずも無く…しばらくは特に何もせずおりましたが、再生環境が良くなれば良くなるほど静電気由来のパチノイズは気になるもの。
今回はネットで見かけた TRUSCOの静電気除去シート を使ってみました。
そもそも静電気って何?
冬場にセーターを脱ぐ時などにパチパチと火花が散るアレが静電気です。
中学校(小学校か?)の理科で実験した事があるはず。異なる2つの物質をこすり合せたりすると発生する厄介なヤツです。
詳しい話は抜きにして💦💦なぜレコードに静電気が発生するのかというと、レコードの材料である塩化ビニルがとても静電気を溜めやすいからなのです。
レコードをスリーブ(内袋)から取り出しただけで猛烈に静電気が発生しています。
腕を盤面に近づけてみてください。レコードに帯電した静電気で産毛が引っ張られモヤモヤした気配を感じるでしょう?
空気中に浮遊しているチリやホコリなんかを地球の引力並みに引き寄せてしまいます。
運良くあまり静電気を溜めない状態でプレーヤーにセットできても、カートリッジの針が音溝をトレースする事でも発生するのですからタチが悪いです。
再生途中で「パチッ!」と強いノイズが出るのは静電気がカートリッジや針などに放電する時のショックで、小さな雷とも言える電撃のせいです。
盤面の傷は仕方ない(そもそも傷なんて付けるな)としても、静電気のノイズは極力減らしたいですよね。
静電気対策グッズ
さて、アナログレコードの静電気対策にはどんなものがあるのでしょうか。
1.レコードの静電気防止スプレー(超お手軽だけどオススメしません)
2.ゼロスタットなどのイオナイザーを使う(効果てきめんらしいが高価)
3.除電ブラシを使う(ピンからキリまで)
4.バランスウォッシャーで処理する(効果あり。でもコスパが…)
5.AT6012a などの静電気を押えるレコードクリーナーを使う(おすすめ)
6.除電効果のあるシートを使う(今回試す)
もっとあるのでしょうが、私が知っているのはこんなものかなと。
オススメするもの
2.ゼロスタットはオススメの製品なのですが、いかんせんお高い。アナログ全盛期の頃からずっと生き残っている製品だしいつの時代でも好評価。私は使った事ないけど一発当てたら欲しい!
4.バランスウォッシャーは私も使ってます。静電気防止効果と若干の音質改善が認められ、ノイズが減る事は間違いありません。ただ、コスパが悪いのと処理が結構手間でおっくうになってしまいました。
5.AT6012aはイチオシです。私も使ってます。湿式で静電気をほとんど起こさずホコリを除去できます。ただし再生中に発生する静電気には効果がありません…
オススメしないもの
1.静電気防止スプレーは絶対使いません。静電気は防ぐかもしれませんが、汚れごとレコードの溝を埋めるようなものです。昔、友達に貸したレコードがスプレーでベッタベタになって帰ってきた時はもう2度と他人にレコードは貸さないと思いました。
3.除電ブラシは効果がありそうだな~と思っているのですが、OA機器ならいざしらず、AT6012aで折角ホコリを取ったレコードを除電ブラシでささっと掃くなんてどうなんでしょうか?ただ、ユキムのASB-1 という除電ブラシは高価だけど興味あります。これも一発当てたら欲しい。
TRUSCOの静電気除去シート
TRUSCOは工場などの生産現場では資材の御用達ブランドです。
アナログレコード用に開発されたものじゃ無いところがソソりますね~
これを使ってみようと思ったのはこの記事を見つけたからです。
それにこの静電気除去シートは結構お安く手に入るのです。
早速手に入れて試してみました。
私のアナログプレーヤーは VPI の Scoutmaster。
東日本大震災でラックから落下して大破したのですが、修理の難しいアームを SAEC の WE-308 に換装して蘇らせました。
シートのサイズは250mmX250mmなのでターンテーブル全面を覆う事は出来ませんが、効果の程を確かめるには十分だと思います。
※500mmX500mmというサイズもありますが、かなり高くなってしまう
Scoutmasterのターンテーブルはアクリル製なので静電気には弱い方だと思うのですが、意外に静電気由来のパチノイズは出にくいです。でもゼロじゃない…レコードによっては結構盛大にパチパチいうものもあります。これが少しでも減ってくれたら良いなぁ。
静電気除去シートを敷いて試聴
何か新しい製品を導入した時に聞くいつもの定番レコードは スザンヌ・ヴェガ の Solitude Standing
A面1曲目の「Tom’s Diner」はアカペラでスザンヌ・ヴェガの声だけ。声フェチの私にとっては比較試聴にもってこいです。
私の持っているこのアルバムは特にノイズが少ない1枚なのですが、TRUSCOの静電気除去シートを敷いてみるとリードインの時から「お!?静かになったな・・・」と実感するほど効果がありました。
期待が高まります!
ところが・・・
ヴェガの歌に何かキレがありません。静かなんですけど、丸い音。柔らかくなったと言えば聞こえが良さそうですが、悪く言うと鈍ってる?
その印象は2曲目の「Luka」でも変わりませんでした。印象的なイントロの音色、ギターのカッティング、ヴェガの歌、いずれも鮮度を失ってます。
もともとVPIのプレーヤーはソリッドで硬い音が特徴だったので、キレを失っては良いとこ無しです。
A面終曲の「Night Vision」においてもバックグランドの静けさは保たれていましたが出てくる音が気に入りません。
B面は聞かずに今度は高音質盤だと思っている寺島レコードの JAZZ BAR 2007 を試聴。
こちらはあまり音色の変化は気にならず、ノイズの低減効果を実感できました。強いて言えば低音が少し薄くなったような気がしました。
その後ボーカル物を中心に何枚か試聴。
男性ボーカルでは特に気になるところは無かったのですが、女性ボーカルではスザンヌ・ヴェガの時と同様声の鮮度が低下するような気がして、結局はシートを外し元に戻してしまいました。
静電気防止の効果は認めるが・・・
私の環境には合わなかったようです。
おそらく、VPIのプレーヤーの特徴であるセンタースピンドルを利用したレコードクランプシステムとの相性が悪いのでしょう。
ターンテーブル中央の黒い物体をセンタースピンドル上部に切ってあるネジに嵌めて回すと、レコードとターンテーブルが密着するシステムなのです。
レコードとターンテーブルの間に静電気除去シートを挟み込むと、その密着が不十分になり音色に影響が出るのだと思われます。
シートを敷いた場合の無音部分ではかなり静かさを感じるので効果はあると思いますが、音色の変化が大きいのが残念です。
悔しいのでターンテーブルの下に4つ折りにして差し込み、スピンドルの金属部分とシートが触れつつターンテーブルには触れないギリギリを狙って設置しています。
気持ち静電気が押えられているような気がします。
集中して試聴しないと効果の程が分らないし、ある程度の期間を掛けて様子を見ようと思います。
他のプレーヤーだったらどうでしょうか?
誰か試して教えてください!!
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