高級路線を狙ったコンデンサーマイクのカプセル交換。
海外では結構メジャーな事らしいのですが、日本ではパーツの入手が難しい事もあり取り組んだ記事もほとんど見かけません。
でも、microphone-parts.comのマイク改造記事と、たなすけさんのV67Gの改造に挑戦した動画を発見した事で俄然やる気が出てきました!
私のV67Gは、はたしてノイマンの様な音が録れるマイクに変わるのでしょうか!?
マイク改造の情報を集める
私が【歌ってみた】に使用しているマイクは MXL の V67G です。
1万円程度の初心者向けコンデンサーマイクでは評価の高いヤツで、私も結構気に入って使っております。
いろんな方がノイマンのU87に近い音がするマイクだと評価しています!
私はU87がどんなマイクか知りませんので何も言えねぇ・・・ですけれど。
使いこなしに少し工夫が必要ですけど、結構良い音で録れるんです。
でも、こんな記事を見つけてしまいました。
↓
V67Gのチープなマイクカプセルを本家ノイマンのレプリカであるRK-87に交換して高音質を獲得しよう!って内容の記事です。
この記事にはさらに基板を交換したらもっと良くなるよ!!って書いてあるのですが、そこまでやったらもうV67Gの皮をかぶった狼になっちゃう
まずはマイクカプセルを交換することに決定です。
さらに情報を収集していると、たなすけさんという方がV67Gのマイクカプセルを交換している動画をYoutubeに乗せているじゃありませんか!
おお、これで実践する方法も分かったぞ!
プライムミュージックで音楽三昧マイクカプセルを入手する
問題はマイクカプセルをどうやって入手するかです。
microphone-parts.com から購入するのが最も安心かと思いますが、高いんだ・・・$159もする・・・
海外通販ならココって事で eBay で RK-87 を検索すると\3,000台からぞろぞろ出てきました。
が!
microphone-parts.com の記事の中に eBay に出品されているマイクカプセルはほとんどが問題の有る物だからウチのヤツを買ってね❤って書いてありました( ;`・~・)
ぐぬぬ…
どうする・・・
そんな中、Dachman Audio というショップに目が止まりました。
RK-87 が $79
送料含め約\10,000だな・・・
このショップではマイクカプセルだけじゃなく DA87i というコンデンサーマイクのキットも販売しています。
そんなショップですから、まさかパチモンじゃないでしょう。
1週間くらい悩みに悩んで、ポチッとしてしまいました
届いたのがこれ。
ケース側面にシールを剥がした跡が!
うう
不安だ・・・
確かめる術はないので信じるしか無い;;;(大汗);;;
モノはとても綺麗。信じよう!
dachmanaudio.com から RK-87 の詳細とスペックを引用
The RK-87 mic capsule is a Chinese OEM replica of the classic Neumann K87. It features a dual-backplate construction and is made with 3-micron gold-sputtered mylar.
The RK-87 supports both cardiod-only and multi-pattern microphone circuits.
What’s Included:
- RK-87 microphone capsule
- Mounting post and saddle
- Backplate termination wire
- Screws for the saddle and termination wire
Technical Specifications
- Polar pattern: multi-directional (cardiod, figure 8, omni)
- Frequency response: 20Hz – 20kHz
- Sensitivity: -36dB ±2dB (0dB = 1V/Pa at 1kHz)
- Output impedance: 200Ω ±30% at 1kHz
- Max Input SPL: 140dB at 1kHz = 1% THD
- Capacitance: 54±4pF
- Double-sided
- 34mm diameter x 13.4mm
マイクカプセル交換(取り外し編)
V67Gのマイクカプセル。振動板の厚みは6μ。購入からまる4年経過しているのでそれなりに汚れているな。
マイクの本体ケースを外す
XMLコネクター側の黒いリングと、下側の緑のリングを回すとこのように外れます。
V67と刻印してあるケースはただ嵌っているだけなので、下のリングが外れたらすんなり抜けてきます。
マイク基板を確認しておきましょう。
マイクカプセルからのリード線は2本。赤と黒。赤はダイヤフラムから、黒はバックプレートからの信号線です。
たなすけさんの動画とは基板が変わっています。
あちらはディスクリートで製作された基板でしたが、これはチップマウント。
人の手を介して無い
こうなってしまってはコンデンサなどのパーツを交換して高音質化改造するのも難しくなりました。
今回の改造はマイクカプセルの交換だけという事に。
ヘッドバケットを外す
ヘッドバケットはこの小さなネジ2本で固定されています。
1箇所は緩み止めのためペイントロックしてありましたが、もう1箇所には無し。
何かな~(´-`).。oO
細いプラスドライバーで回そうと思ったら意外に溝との隙間があり、ドライバーがカタカタ動きます。
このまま回そうとするとネジ山なめるな・・・
1サイズ大きなドライバーに交換してカタカタしないことを確認してから、慎重に、でも思い切ってクッと回しました。
でもネジはきっちり締まっていて簡単には緩みませんでした。
何度か力を入れ、緩んだっていう手応えがあまり無いままドライバーが回り、やっちまった~。゚(゚´Д`゚)゚。って思ったんですけど、無事にネジが外れてホツ。
ヘッドバケットの外れたV67G
マイクカプセルを取り外す
マイクカプセルを取り外すためにダイヤフラム側からの信号線をハンダごてを使い外します。
バックプレートの信号線はネジを外します。
今回は折角なのでこの線もハンダ外して交換したのですが、そのまま残しておいたほうが良かったな。
リード線を外したらマイクカプセルを支えている白いブラケットのネジ4本を外します。
マイクカプセルの分離完了
マイクカプセル交換(RK-87取り付け編)
きっちり取り付けられたRK-87
ブラケットの穴が合わない!
さて、すんなり取り付けできるとは思ってませんでしたが・・・
穴が合いません。゚(゚´Д`゚)゚。
無理やり2本入れてみたものの、このまま締め込むとブラケットが割れてしまいそうです。
こうなったらブラケットを細工するしかありません。
中央のマイナスネジを外すとブラケットが外れます
あまり良い出来栄えではないな
4つある長穴がRK-87の穴位置に合わないので、これで手直しします。
電動リューターとダイヤモンドビット
長穴を外側に広げるのです。
この時注意することは、ビットの選択とリューターの回転数。
ちょうど良い太さのビットを使い、回転は低速にすること。
細すぎると効率悪くなるし、回転数を高くするとブラケットの樹脂が溶けてしまいます。
追加工がうまくいってきっちり取り付けることが出来ました
リード線の処理
RK-87はダブルサイドのカプセルなので、ダイヤフラムからのリード線は2本出ています。
背面側のリード線は使わないため、カプセルのベースにうまい具合に空いていた穴を使って纏めておきました。
ほんとは端末のリード線はが剥いてある部分に熱収縮チューブをかければ完璧なんですが、手持ちになかったのとリード線がショートする恐れも無さそうなので宙ぶらりんにしておきます。
フロント側ダイヤフラムのリード線をはんだ付け
ダイヤフラムのリード線は右側にはんだ付けします。
バックプレート側のリード線を外さなきゃよかった・・・
はんだ付けの手間が増えただけだった。
因みにはんだ付けの装備はこれ
はんだごて HAKKO PRESTO No.984
コテ台 HAKKO FH-300
コテ先クリーナー HAKKO 599B
ヘッドバケットを取り付ける
取り外したヘッドバケットです。
あまりにも金ピカなので色塗っちゃおうか!って思ったけど、やめました。
交換した RK-87 は、オリジナルのマイクカプセルより直径が少し大きいのでえぐってある部分の角を少し削ってやらないと入りません。
さっきブラケットを削ったリューターに砥石を付けて角を削りました。
こんな感じ
もちろん、ヤスリでも大丈夫。
ばっちグーです
本体カバーを取り付けたら完成
カバーを取り付けたら元通り
中のマイクカプセルが RK-87 だなんて、誰にも分かりません
因みに、V67G を改造して販売している会社があります。
AMATERAS 8067
\29,200なり。
コストを考えると、カプセル交換のみでしょうか。
実機に触れたことはありませんのであくまで推測ですけど。
V67G が約1万、RK-87も約1万。
合計2万・・・くらい。
あとは自分の手間(ま、これが楽しいんだけど)
録れ音が同等なら安上がりなんだけどなー
eBay 経由とはいえ個人輸入ですし、分解のリスクも有るので誰にでもオススメできる訳ではありませんから、物好きなアナタじゃなければショップからお買い求めされたほうが安心ですよ~
気に入らなければ返金もしてくれるって。
気になる音はいかに?
マイクカプセル交換前後の録れ音を比較してみましょう。
段取りと使用機材
段取りは写真の通りです。
リフレクションフィルターとポップガードを使っています。
○リフレクションフィルター
CLASSIC PRO CAR900
○ポップガード
GRANPRO
効果的に息を遮断してくれます。
丸いポップガードのように顔を隠さないので、配信などには重宝しますね。
でも、無駄に近づいちゃう事ができるので距離感にはご注意ください!
○USBオーディオインターフェース
FOCUSRITE Scarlett 4i4
○DAW
PRESONUS StudioOne Professional 5.5
○マイクからの距離
マイク正面と口元までの距離は約15cm。
「あ~~~~」と発声してDAWのメーターが約-12dBとなる音量感で録音しました。
エフェクト類は何も掛けていない素の音です。
ただし、録音後にノーマライズしてあります。
マイクカプセル交換前後で2日ほど時間がかかっているのと、部屋の防音が甘く外来音が入っているので完全な比較とはならないことをご承知くださいm(_ _)m
アナウンスサンプル
V67Gオリジナル
RK-87カプセル交換後
歌唱サンプル
BANKBANDの「はるまついぶき」を歌いました
1コーラス目の冒頭部分で比較してみましょう。
あ、歌が下手だってのは無しにしてね❤
V67Gオリジナル
RK-87カプセル交換後
プライムミュージックで音楽三昧マイクカプセル交換による効果
さて、今回のカプセル交換の結果は!
良くなっていると思う!!
微妙な表現ですみません(^_^;)・・・
カプセル交換の前後で「テキストの読み上げ」と「ボーカル録音」を実施してみて
うわ!こんな違う!!
と言うほどの変化は感じられなかったもんで・・・
例えば、私は BEHRINGER の B-1 という入門用コンデンサーマイクも所有しているのですが、固くて詰まった音なんです。
ボーカル録音してもちっとも楽しくなかったため、直ぐに V67G に買い換えました。
そしたらどうでしょう!
V67G の少し華やかで綺麗な音に一発で魅了されてしまいました。
それ以来 V67G は私のメインマイクとなったのです。
つまり、今回のカプセル交換では「B-1 から V67G に変えた時ほどの劇的な変化は感じられなかった」という事であり
カプセル交換による変化が無い
という意味ではないのです。
小さいながらも確実な変化は感じ取れた、という事なんです。
明るすぎる高音は明るい高音へ。さらに低音の厚みがプラス!
V67G オリジナルのマイクカプセル
1万ちょっとの入門機にしてはちゃんとしたラージダイアフラムのマイクカプセルを使っている
まあ、正直なところ「テキストの読み上げ」ではカプセルの違いはよく分かりませんでした
同じようなマイクとの距離感、声の質をキープしようとしても、全く同じにできるわけもなし・・・
録音した日も違うしバックグランドのノイズも無音なわけじゃない。
もっと近づいたり離れたりして条件変えれてみればよかったな~ 反省。
でも「歌」では違いを感じることが出来ました。
高音が少し落ち着いた
V67G のストロングポイントは少しハイ上がりのきらっとした音。女性ボーカル向けと言われている所以です。
もちろん男性ボーカルにだって効果抜群で抜けの良い音が録れます。
しかしそれは諸刃の剣
マイクとの距離が離れると急に音が痩せて聞こえるのです。
カプセル交換前の歌を良く聞くとEQで少しハイを削りたくなりますね
交換後はどうでしょうか?
高音が少し落ち着いたように感じませんか?
シャリシャリした感じが薄れ、解像感が増したように思います。
さらに低音部での厚みが少しですが増しました。
これはうれしい!!
カプセル交換後も若干ハイ上がり傾向ではありますが、低音部に厚みが増したことでV67G の弱点が 弱点 くらいに小さくなったのですから。
ザラッとした感じは変わらない
音質は少しですが良い方向に変わってくれて満足しています。
大幅に音が変わらなかったのは V67G と交換したマイクカプセル RK-87 との相性も良かったのでしょう。
もちろん、オリジナルの V67G が結構良いマイクだったって事。
そして、もう1つ気づいた事がありました。
録れ音のザラッとした感触です。
「テキストの読み上げ」が良くわかるかな。
カプセル交換してもその雰囲気は残っています。
これはカプセルの問題ではなく基板の特性なのでしょう。
それはそれで味なので良しとしますが、前述した microphone-parts.com の改造記事にはオリジナルの基板では高周波域での特性が十分ではないとされていますし、基板交換のレシピが2つも紹介してあります。
興味をそそる内容です。
この基板では良い音がしそうにありませんものね~
ただ、カプセルを RK-87 に交換したため交換基板の選択肢は Transformerless Circuit Replacement 一択となります。
出力トランスレスの基板です。
本当に美味しそうなのは Transformer Circuit Replacement で出力トランスを使用するタイプだと思うのですが、その場合は RK-87 ではなく RK-47 または RK-12 というマイクカプセルが推奨されているからです。
当面は改造V67Gを使い倒しますが、円-ドル のレートが下がったら基板交換も考えちゃうかも。
はんだ付け得意だしね!
マイクのキットなんかもあるんですよ
アメリカってホントDIYの国だなって思います。
カプセル交換、おすすめはしない。でも・・・
結論からすればノイマンのような音になったのかどうかは分からないし・・・
今回実施したカプセル交換はリスクだらけなのでお勧めいたしません。
結構お高いマイクカプセルを個人輸入するリスク
それがパチモンかもしれないリスク
大事なマイクを分解したり、削ったり、はんだ付けしたりして壊してしまうかもしれないリスク
でも
やってみたら楽しい!
だって、やった事ある人ほとんどいないなんて、スリリングじゃん!!
それに、僕もそうであったように、何かのきっかけでマイクの改造してみよっかな~!?なんて思った人がこのブログ見つけて参考にしてくれるかもしれない。
ある意味ヘンタイです (;^_^)v
これを最後まで読んでくれたアナタ
アナタも同じヘンタイですね!
きっとやりたくなることでしょう
カプセル交換
ふふ
同じ沼にハマろうじゃありませんか (´・∀・`)ニヤ
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