2013年、確かYAHOOニュースで「アイソン彗星」がやってくる事を知った。
それまで特に天文や天体観測に興味を持ったことはなかったのだが、「百武彗星」や「マックノート彗星」を超える大彗星になるかもしれない。というフレーズになぜかすごく惹かれていろいろ調べていくうちに、写真に撮りたい!という欲求が芽生えてきたんだ。
写真を撮ることは趣味の一つ
僕にはいくつかの趣味があるのだが、写真はそのうちの一つで中学校では写真部に所属して白黒写真の現像などもしたことがある。
写真を撮る腕は大したことないけれど現像は大好きで、暗室の中で印画紙に像が浮かび上がってくる瞬間の何とも言えない高揚感をおぼえている。
今ではフィルムに写真を撮ることは無くなってしまったが、2013年当時にはCANONのEOS70Dを使って子供たちの姿や旅行写真などを撮っていた。
当然、EOS70Dの標準ズーム(EF-S18-135 IS STM)は持っていたし、フィルムカメラ用ではあるが望遠ズーム(EF100-300 F4.5-5.6 USM)も持っていたので写真機材には一応困らなかった。
アイソン彗星って?
アイソン彗星については国立天文台のHPやアストロアーツのHPが大変参考になった。
世紀の大彗星になる。
たくさんの人が注目したんだろうね。僕もそのうちの一人だが。
アイソン彗星の撮り方という特集もいろんなメディアで取り上げられていたのを覚えているし、そのいくつかを参考にして写真を撮る準備を胸を躍らせながらしていた。
ただ、残念なことに天体観測の知識は皆無で、アイソン彗星の見える明け方は時間との勝負だという事は実際シャッターを切ったたった1回のチャンスまで知る由もなかったんだ。
彗星写真を撮る方法
彗星の写真を撮るにはいつくかの方法がある
1.広角レンズで風景とともに撮る
2.カメラの望遠レンズで撮る
3.天体望遠鏡にカメラを取付けて撮る
大雑把にはこの3つ。
さらには赤道儀という望遠鏡で星を追尾する装置を使う方法もある。
でもにわか天文ファンとなった僕には手持ちの機材で対応するしか時間も、資金も無かったので2の方法で三脚にカメラを固定して撮ることにした。
天体写真は天気との勝負
世紀の大彗星になる。という触れ込みに反してアイソン彗星はなかなか明るくならない。
望遠鏡を持たない僕には近日点通過直前しか撮影のチャンスはないのだがあいにくの天候で、やっと巡ってきたチャンスが11月23日だった。
幸い僕の家は2階の部屋から東の空がばっちり開けて見えるので、早起きさえすれば外に出ることなく彗星を狙うことができる。
ただ、アイソン彗星が東の空に昇ってきてから日の出までは数十分しか無く、事前に彗星の姿を確認することもできなかったのでもう当てずっぽうでただ画角と方角を変えながらシャッターを切っていった。
事前に彗星を観測することができなかったので、どの辺から昇ってどう見えるのかわからない。撮った写真をディスプレイで見てもどれが彗星かわからなくてただあせるばかり。
あっという間に明るくなり明るい星も見えなくなってその日は終了。
残念なことに、その後3日間とも天気は良かったのに朝もやがひどくて全く空が見えず近日点通過前の撮影チャンスは訪れなかった。
アイソン彗星消滅
近日点通過をNASAの太陽観測衛星SOHOの画像で見ていた人はかなりいたんじゃないかな?
僕もその一人なのだけれど・・・
太陽のコロナに焼かれちまったんだね
太陽の裏側からアイソン彗星は戻ってこなかった。
世紀の大彗星にはなれなかった。
撮影のチャンスも戻ってこなかった。
結局、手元に残ったのは11月23日の撮影データ数十枚のみ。
何だかがっかりして見てもいなかった。
が・・・
なんだ?この写真!
アイソン彗星が消滅してだいぶたってから、11月23日の写真を何の気なしに眺めていたら数枚の写真に尾をまとった彗星の姿を発見!!!
EOS70D+EF100-300 F4.5-5.6 USM
100mm F6.3 4秒 ISO3200
写っていると思っていなかったのでもうびっくり!(◎_◎;)!
ものすごく興奮して何度も彗星部分を拡大して見たりして
感激したっ!!!
天体沼に堕ちる・・・
その後、天体観測熱は急激に高まり。
いろいろ思案して予算も考慮して最初はBORGのコ・ボーグ36EDに手を出し200mm天体望遠鏡の世界を堪能しつつ、あっという間にVIXENのED80Sf+CELESTRONの赤道儀ADVANCED-VXを入手し本格的に星空写真の世界に足を踏み入れています。
赤道儀を使って初めて撮ったのは木星。ちゃんとガリレオ衛星も写りました。
パンスターズ彗星を小雪混じりの12月に撮った時も緑色の彗星核に感動したし。
岩手県の内陸ではなかなかいい天気に恵まれないので撮影チャンスは年間通しても少ないけれど、彗星を追いかけたり星団や星雲を狙ったり対象は無限ともいえるし、機材に散財するのもまた楽し。
この楽しさはいずれも「アイソン彗星」のおかげですよ。
最初の感動をこの写真とともにいつまでも胸にしまっておきましょう。
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